裸の帆
森さくら
昼の電車に揺られながら8時50分から始まっている学校を想い、どうしようもない罪悪感に駆られる。到着する一つ前の駅で一歩が踏み出せず踵を返して頬が濡れている。今までお世話になった人の顔を頭に浮かべ、申し訳ない気持ちになる。
そんな時、思いつく限りの陽気な言葉を連ねる。
きっと良い選択肢の方が少なかっただろう。
必死だったんだ。必死で頭を上に上げていた。そんな状況でひいた拙い色とりどりの線が、焦り、遣る瀬なさ、野望、の感情をリアルタイムで表現している。複雑な感情に揉まれながらも微々たる理性で前へ進む様子を描く。筆の使い方を分け、感情の荒さや繊細さをより前へ出す。
今、私は地に足が着いている。
これでいい。
小さな積み重ねが小さな私を創る。
これでいいのだ。追い風に乗れなくてもいい、姿勢が悪くてもいい、頬が濡れていてもいい、不格好でもいい。
今がサイコウの時だ。
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